今回は、僕が最近とても気に入っているミリタリーラスト(379x last)について、その魅力を紹介したいと思います。
オールデンのラストには、多くの種類があります。いろいろな雰囲気の靴を楽しむという意味では、多種のラストがあるのは嬉しいことなんですが、一方で、ラストによって大きさ・形が異なるためサイズ選びが難しくなるという難点もあります。
Alden Styleさんのブログでは、13種類のラストがそのサイズ感とともに紹介されていて、とても参考になります。
この13種類以外にも、トゥルートレッド(Tru-tred)、スナップ(Snap)、オーリーンズ(オーリアンズ?Orleans)といったラストが存在しています。
以上16種類のうち、コプリー(Copley)、トム(Tom)、スナップ(Snap)、オーリーンズ(Orleans)の4つについては、僕はまだ足入れしたことがなくサイズ感もわかりませんが、その他のラストは何からの形で履いた(試した)ことがあります。
オールデンのラストと言えば、バリーラストが最もメジャーだと思いますが、今回着目するのはミリタリーラストです。
ミリタリーラストの歴史
ミリタリーラストは日本にとても縁の深いラストです。オールデン社で眠っていたこのラストをラコタハウスが蘇らせたという歴史があるからです。
以下は、ラコタハウスのHPからの引用です。
第二次大戦中に開発された379X。通称ミリタリーラスト。当時はネイビーやアーミーモデルとしてアメリカ軍需に支給され、将校だけでなくドレスユニフォーム用として一般兵士の足元を飾っていました。
終戦後ある一定期間まではボーイズ用として生産されていましたが、80年代以降は倉庫に眠ります。そして1994年にラコタの強い要望に応えて復活を遂げます。
小さめのヒールカップと緩やかな曲線を描くアーチシェイプが抜群のフィットを生み出します。
ミリタリーラストの姿形
ミリタリーラストの特徴は、なんと言っても、その丸っこいトゥ部分のシェイプにあるのではないでしょうか。とても愛くるしい形をしています。
と同時に、土踏まずの部分は、モディファイドラストほどではないにしても、適度にくびれています。そのため、トゥ部分の丸さから想像するほど、全体としてボテっとした感じがありません。
また、上のラコタハウスの説明にもあるように、ヒールカップがこぶりなので、全体が引き締って見えます。この種の形状から生じがちな野暮ったさがないんですよね。とてもよくできています。
ミリタリーラストのモデル
ミリタリーラストを採用したモデルは多種多様です。
かつて、ミリタリーラストは日本限定だったようです。Alden Styleさんのブログの上記の記事でもそう書かれています。
ただ、数年前からは海外のショップでも扱っています。当初はコードバン以外の素材のものばかりだったと思うのですが、最近ではアメリカのショップを中心にコードバンの靴も作っています。
スタイル
短靴でぱっと思いつくだけでも以下のものがあります。
- プレーントゥ:一般的なのはドーバータイプですが(上の写真のPTB)、990のような一枚革のタイプもあります。後者は、バーガンディコードバンのものがBrogueで購入できます。僕、最近これをオーダーしました。もう少しで手元に届くはずです。
- キャップトゥ:パンチドキャップトゥをよく見かけます。ストレートチップはあるんでしょうか。あまり記憶にないです。
- ロングウィングチップ:以前、伊勢丹がバーガンディコードバンで出しました。また、昨年後半にはラコタハウスがシガーコードバンで出しました。伊勢丹のものについては、以下の写真をご覧ください。
- NST(Norwegian Split Toe):Brogueからバーガンディコードバンのものが出ています。
- Uチップ:Unipairが昨年末にシガーコードバンでこれを出しました。
- Vチップ:スエードで作られていることは確認済みです。近く、Unipairからコードバンバージョンが発売される予定です。
以上が短靴ですが、ブーツにもいろいろあります。ミリタリーのブーツとして特に有名なのは、タンカーブーツではないでしょうか。ミリタリーラストは海外のショップの別注にも採用されるようになっていますが、タンカーブーツだけは未だに日本のショップしか作れないようです。
素材
コードバン、カーフ、スエード、クロムエクセル、キッドスキンなど、これまた種類が豊富です。キッドスキンの短靴があれば買うんだけどなぁ。探していますが、今のところ見つけられていません。
ソール
ダブルレザー、シングルレザー、ウォーターロック、コマンドと、メジャーどころのソールであれば一通り使われていますが、多くの場合、シングルレザーかウォーターロックです。
ヒール
ほとんどの場合、スモールヒールが使われていますが、ラージヒールが採用されているものもあります。
ウェルト
フラットウェルトのものしか見たことがないような気がします。リバースウェルトやストームウェルトを使ったものってあるんでしょうか?(←いま僕がオーダーしているPTBがストームウェルトでした。Hongさん、ご指摘ありがとうございました。2020年1月9日追記)
ミリタリーラストのサイズ感
ミリタリーの場合の僕のサイズは7Dです。
以前、僕はすべてのラストについて7Dを履いていましたが、今はバリー、モディファイド、トゥルーバランスの3つのラストは6.5D、それ以外のラストは7Dを履いています。
ミリタリーの7Dはジャストサイズよりは少し大きいかもしれませんが、ベストサイズではあります。 6.5Dでは窮屈に感じます。
僕の周りでも、バリーよりもハーフアップする人が多いように思います。
ミリタリーラストの履き心地
個人的には、パーフェクトな履き心地です。長時間履いてても疲れません。おそらくオールデンのラストの中で僕の足には最も合っています。
まず、トゥの形状からもわかるとおり、足指部分(足の先部分)にかなり余裕があります。足指が締め付けられないというのは、それだけで快適です。
足先に余裕があるからといってフィット感がないわけではありません。土踏まず部分の適度なくびれと小さめのヒールカップで足全体をしっかりと固定してくれます。土踏まずのくびれはモディファイドラストほど極端ではありません。まさに「適度な」という表現がぴったりです。
ミリタリーラストの靴たち
それでは、僕がいま持っているミリタリーラストの靴たちを見ていきましょう。
僕が2019年に一番履いた靴です。Unipair別注のこの靴、ぜひ多くの方に試してみていただきたいです。
伊勢丹別注のバーガンディコードバンLWB。これもLWBらしくない雰囲気が気に入ってます。
ナチュラルクロムエクセルのキャップトゥブーツ。靴紐を変えて楽しんでます。
Unipairから出たシガーコードバンUチップ。履きおろしの準備は完了しました。シワ入れが楽しみです。
バーガンディコードバンのNST。コマンドソールなのも相まって、ちょっと他とは違う雰囲気です。
まとめ
今回は、僕が最近特に気に入っているミリタリーラストに焦点を当ててみました。
ここでは僕の持っている靴として5足を紹介しましたが、いま、さらにバーガンディのプレーントゥとVチップをオーダーしています。
コードバンで5種類のミリタリー短靴が揃うのを楽しみにしているところです。5足でのシューサークル、なかなか珍しいと思いませんか。